日記

4行でわかる森田ひかる

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「はぁ……はぁ……


 深夜の時間帯、本来なら誰もいるはずのないレッスン室に荒い呼吸音が響く。


 レッスン室の鏡に映る自分と睨み合っているのは、櫻坂46の小林由依。本日のレッスンは数時間前に終っていたが、着実に力をつける他のメンバーを見て、たとえ同期だろうと後輩だろうと、負けてられないという気持ちが強まり、無理を言って自主練させてもらっていた。


「由依さん?」


 小林が再び踊ろうとした時、後ろから声をかけられ、小林が振り返ると、そこには二期生の森田ひかるが立っていた。


「ひかる。帰ってなかったの?」


「由依さんのお家に行ったら居なくて、電話しても出ないから、まだここにいるのかなと思ってきたんです」


 「電話?」と小林は聞き返し、端っこに寄せていた鞄の中からスマホを取り出した。確認してみると、ひかるからの電話通知が画面に表示されている。


「ごめん、全く気づかなかった。それで? どうしたの?」


「由依さん、覚えてないんですか?」


「んん? なにが?」


……ボケてます?」


「え、ほんとにわからない」


「昼間、たくさんお祝いされてたじゃないですか」


「お祝い……? あ、もしかして」


「はい」


「もうすぐ、私の誕生日か」


「そうですよ。なんで忘れちゃうんですか」


 本日は10月の22日。なぜか誕生日前日なのに、お祝いの言葉をお昼頃に、もらっていた小林だったが、レッスンと自主練に夢中になるあまり、自分の誕生日が目前に迫ってることが、記憶から抜けていた。


「てことは、ひかるはお祝いするために私の家に?」


「はい。そしたら、由依さんがまだここにいたってわけです」


 小林は申し訳なく思った。二期生は皆大切な後輩だが、誰よりも慕ってくれるひかるは小林にとって、やはり特別な部分があった。そんな後輩が、疲れてるだろうに、わざわざ自分の家に来てくれたのだ。


「由依さん、ちゃんと休んでますか?」


「大丈夫だよ。心配しないで」


「そんな息切れしながら、言われても説得力ないです」


 ひかるはそう言って、小林に抱きついた。10月後半でやや寒いというのに、大量の汗をかいている小林の体の暑さを感じた。


……今日はもうあがりましょ?」


 小林はひかるには特に弱い。それを知っていたひかるは、小林の弱点を利用する様で気が引きつつも、上目遣いでそうお願いした。


……そんな顔されたら、断れないじゃんか」


 小林がひかるの頭を撫でて、そう言うと、ひかるは嬉しそうに微笑んだ。


 ダンス後のストレッチを済ませ、身支度を整え、小林とひかるは、レッスン室を後にした。


 外は肌寒さを感じ、車のヘッドライトが照らす夜の街。人は時たま横切る程度で、人混みを嫌う小林にとっては、好都合な時間帯だった。


しばらく横を歩いていると、ひかるは小林に尋ねた


「そういえば、レッスン室はこんな時間までどうやって借りたんですか?」


「先生たちにすぐ上がるからお願いしますってしつこく頼んだ」


「もう、大人しく休んでください」


「だってさ。みんなすごい頑張ってるんだもん。私だって燃えてくるよ」


「それで、由依さんが体調壊したりしたら、私は悲しいです」


「大丈夫だって」


「誕生日忘れるまで、頑張るのは大丈夫なんですか?」


「それは、ごめんなさい」


 拗ねた顔で小林をみながら言うひかる。小林は、その顔を見て、苦笑いを浮かべながら、謝罪の言葉を並べた。


「由依さん。ちょっと早いけど、お誕生日おめでとうございます」


「ありがと。ひかるに言われるのが、一番嬉しい」


「そう言ってもらえて嬉しいです。……あ、じゃ、私はこっちなんで」


「あ、まって」


 小林は分かれ道で、会釈をして、帰ろうとするひかるの腕を掴んで呼び止める。


「今日、泊まってかない?」


「え、由依さんの家にですか?」


「他に誰の家があるの。こんな時間だし、ひかる1人で帰せないよ」


「大丈夫ですって。いざとなったら走って逃げれますし」


……私は、ひかると今日一緒にいたい。それでも、駄目かな?」


 ひかるの腕を離して、小林はそう言った。直球でそんなことを言われ、ひかるは顔が火照り、それがバレないよう視界から小林を外した。もっとも、それに小林は気づいて、笑みが溢れているのだが、目を逸らしてるひかるは気付く余地もなかった。



…………駄目じゃないです」


「じゃあ、行こっか。その前に、ケーキ買っていこ」


「お店、あいてますか?」


「コンビニでいいよ」


「さすが、庶民派ですね」


「バカにしてる?」


「まさか。尊敬です」


 歩き出すと同時に、ひかるの手に、小林の手が重なる。人の手の温もりを感じ、ひかるが小林の方を見ると、小林は喜色を顔に浮かべていた。


 それを見たひかるはつられて、表情が緩むと、手に少し力を込めた。


 先ほどまで肌に触れていた寒さの代わりに、2人は互いの温もりを共有し、再び帰路に着いた。

森田ひかるとは違うのだよ

初の長編作品です。
この作品は、フィクションであり実在の人物とは一切関係ありません。
また、重い作品が苦手な方は不向きかも知れません。
死ネタが大丈夫な方だけお願いします。
長いですが最後迄お付き合いください。
それでは作品を楽しんで下さい。
始まりです。

今日は由依先生のお通夜が執り行われた。
そして、明日お葬式が執り行われ由依先生と最後の別れをする。

お通夜の夜、私と私の友達は「We are for you」と言う施設で就寝時間が過ぎているにも関わらず起きて探検していた。
そして、この施設に入った当初よく行った部屋にたどり着く。

その部屋は、由依先生の自室だ。

私達は、興味本位で入り由依先生の部屋の中を漁りだす。

そして、棚の奥から一冊の本を見つけ名前を見ると小林由依と書かれていた。
私と友達は、そのノートの名前を見てこの施設の創設者は渡邉由依だよなと話していると、今日の見回り担当の森田ひかる先生に見つかる。

森田「あんた達勝手に部屋に入って何してるの。もう就寝時間過ぎてるのよ。」

私と友達「あ!すいません。」

森田先生は、怒りながら私達が手にしているノートに目をやる。

森田「勝手に人の部屋に入って何してるの。」

そう言って私からノートを奪う。

私「ごめんなさい。私達まだこの施設に来て間もないので、お世話になった由依さんのこと何も知らなくて、少しでも知りたくて」

森田先生は、怒るのをやめため息を吐き私達の椅子と自分の椅子を用意して座るように促す。
私達は指示通りに席座る。

森田「私も昔、由依さんにお世話になってたの。私ね、由依さんに告白した事もあるんだよ。」

私「え!そうだったんですか。で、結果は?」

森田「惨敗、私にはずっと好きだった人がいるからって断られた笑」

笑いながらでも少し懐かしそうな表情を浮かべながらノートの表紙を見ながら喋りだす。

森田「その時、由依さんからひとつのお話を聞いたの。貴女達も聞きたい?」

私「はい。聞きたいです。」

森田「分かった。今から話すね。でもここに出てくる登場人物は、由依さんとは関係ないんだって。」

と言いながら話を話し始める。

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