日記

日本人なら知っておくべき大野のこと

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大野 都市に豊かさと潤いを

潤さんの店でコーヒーを間に無言の男、2人。
さっきから二宮は黙ったままで、窓の外を見ていた。
言いたくない事があるんだろうか?
言いにくい事?
二宮は俺のことを知っている。
画商を経営してるし、まあのマネージャーの二宮が俺のことを知っていてもおかしくはない。
まあが描いた作品で、前になにか失礼な事をしたんだろうか? 
それで…まあが心を閉ざした、とか。
そうだとしたら辻褄があう。
島で俺の名刺を見たときの、驚きの顔。
その後の態度とか、彼が言った言葉とか。
既に夕焼けが窓から入り込み、二宮の髪を照らす。
「あの、二宮さん」
「その言葉遣い、もう貴方もすっかり大人ですね」
「え…?」
ようやくコーヒーを啜った二宮は俺を真っ直ぐ見てそう言った。
オレンジ色の柔らかな日差しが俺たちの空気と真逆で、鋭く憎しみまで感じる。
相変わらず思い当たることもない。
訳もわからない事でこんなふうに言われ、すこし腹が立ってくる。
いったい、二宮は俺の何を知ってるんだ?
何度も何度も、俺への恨みとでも言うくらいの態度。
「二宮さん?言葉遣いが気に障るなら、ここからはフランクにいきましょうか」
「……どっちでもいいけど」
「俺、貴方になんかした?」
「してないですよ」
「じゃあ、まあの事?」
「……」
「前に取り引きした事で、まあに迷惑かけた事があったとか?」
目をそらさずに俺を見ていた二宮が目を閉じて、ふーっと唇を窄めて息を吐いた。
まるで自分を落ち着かせるようだ。
それからまたすこしの沈黙があった。
見かねた潤さんが、“これどうぞ”と氷が浮かんだお茶のグラスを置く。
「二宮さんはまあのマネージャーをやってどのくらい?」
「ずっとだよ。まあくんが描き始めてから。いや…その前からまあくんの味方だし」
目を逸らしたままの二宮はぽつりぽつりと話し始めた。
まあは大きなショックを受けて、記憶が退行したこと。
その記憶は思い出したくない事だから、それから遠ざけたい。
描くことで自分を取り戻して、そこからがまあが先に進んだこと。
あまりにも抽象的で、だからどうして俺のせいだとか言われるのか分からない。
「俺、二宮さんに会ったことある?」
「………」
「まあは…「にの!翔くん!」と言葉を遮るように大野くんが店に飛び込んできた。
「どうした?」
「どうしたんですか?」
「まあくんが、まあくんが…泣き出してさ」
言葉を聞き終わる前に二宮が店を飛び出していく。
俺も後を追いながら「どういう事?」と聞いた。
「アブラの道具を出してさ、とりあえず好きに描いてみなよって言ったらスケッチブックからなんかの下絵をだして、それを描き始めたんだ。大まかに描いてたのに、少しずつ下絵に色がついてきたかさ…」
「泣きはじめたってこと?」
「そうだ。静かにポロポロ泣き続けて、おいらの声も届いてないみたいで」
なんだろう?
まあが泣いてる…。
笑顔が似合うのに。
太陽みたいに笑うのに。
無邪気に自分の心のままに、素直に物をみてるのに。
ガレージに入ると、まあが描いてみた小さな風景画を前に二宮が眉を寄せていた。
この絵…。
まあが島の秘密の場所で描いてくれた“夢の中”と言ってた景色。
迂闊にも雅紀と出会ったあの街の海岸みたいって思った景色。
「さくらいさん、ここにいきたい」
「まあ」
「いく」
「でも、ここ…」
「いきたい」
ここ…ここは。
俺が知ってる訳ない。
まあの夢の中。
頭の中だけに存在する、架空の場所。
ただ、俺の知ってるあの海と偶然似てるだけ。
それなのに。
「分かったよ。明日、行ってみよう」
って。
気づいたら、そう答えていた。
つづく
今日は【超嵐】の企画に参加させていただきまして、時間をずらして17時にアップしました。
今週も「風」を読みにきてくださってありがとうございます。
いかがでしょうか?
お話の展開をゆっくりにしてあるので、読んでいてもどかしいと思います。
すみません。
また明日から頑張ります!
マトちゃん☆

大野をさっさと買えばいいのに

 

大宮さんBL物語です。

 

~*~*~*~*~*~*~*~*~

 

 

 

「わかる?大野さん。」

 

 

潤君が名指しで大野さんを指名する。

 

大野さんは。

 

チラ・・・と潤君を見つめ。

 

そして・・・コクン・・・ともう一度おつゆを飲んで。

 

それから言った。

 

 

「ファミレスの店員。」

 

「正解。」

 

「ええ!?」

 

 

なんで。

 

大野さん・・・なんでわかったの///?

 

確かに勘のいい人だけど・・・。

 

って言うか。

 

ファミレスの店員・・・って・・・もしかして。

 

 

「ぇ・・・潤君もしかして。」

 

「・・・。」

 

「ええ!?あのJK!?いっつも一度にお皿全部運んでくるあの・・・めっちゃマイペースな子!?」

 

 

僕よりも先に・・・相葉さんが・・・大きな声を出す。

 

櫻井さんも・・・その子を知ってるみたいで。

 

目を見開いて驚いている。

 

 

「そう。」

 

「え・・・相手がJKって犯罪・・・」

 

「18の誕生日まで待った。」

 

「・・・。」

 

「卒業までは手もださない。」

 

「・・・。」

 

「そう決めてる。」

 

「・・・。」

 

 

しん・・・となる。

 

だって。

 

潤君がかっこよすぎて。

 

だから。

 

・・・。

 

・・・。

 

なんか・・・ドキドキする。

 

知っていたけど・・・あまりにも潤君が「男」で。

 

だから。

 

かっこいいなって・・・そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相葉さんが。

 

すすっと・・・櫻井さんに近づく。

 

僕も

 

チラ・・・と大野さんを見つめ。

 

そして・・・すすっと近づいた。

 

 

 

「潤ちゃん。おめでとう。」

 

「ん。」

 

「いやめでたいね。」

 

「ありがとう櫻井さん。」

 

「潤君・・・よかったね。」

 

「和。ありがとう。」

 

「・・・。」

 

「まあ・・・そういうことだから。」

 

 

そういうと。

 

少しだけ・・・照れたように笑い。

 

そして言った。

 

 

「そのうちちゃんと紹介するよ。」

 

「・・・ぅん///。」

 

 

 

なんか。

 

まだ・・・ドキドキしていて。

 

これから・・・あのファミレス。

 

どんな顔していけばいいのか・・・とか。

 

会ったらなんて言えばいいのか・・・とか。

 

そんなことばかりが頭をグルグルしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで・・・みんな幸せ君だね。」

 

「なんだよ雅紀・・・幸せ君って///。」

 

「だってそうじゃん///幸せ君でしょ?」

 

「まあな///。」

 

「俺たちも負けずに幸せにならなくちゃね。翔ちゃん。」

 

「もう十分幸せだわ。」

 

 

ぐいっ・・・と。

 

櫻井さんが相葉さんの顎を少し乱暴になでた。

 

それが。

 

うん・・・なんか///。

 

すごく愛情いっぱいで。

 

逆に優しさを感じて。

 

なんか・・・見ている僕の方が。

 

ちょっと・・・照れてしまったんだ///。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潤君が・・・締めのラーメンを作ってくれて。

 

それを食べたら・・・みんなお腹いっぱい。

 

ささっと片付けて。

 

あとは・・・飲みだけ。

 

・・・と。

 

大野さんが・・・そのタイミングで急に立ち上がり。

 

戸棚の引出しから・・・何かを取り出すと。

 

僕の前・・・テーブルに。

 

それを置いた。

 

 

「・・・ぇ・・・なに・・・?」

 

「・・・。」

 

 

あきらかにそれは。

 

指輪。

 

ケースにも入っていない。

 

むき出しの。

 

シルバーリング。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大野さん・・・?」

 

「・・・ぅん。」

 

 

みんなが。

 

僕たちを見ている。

 

僕は。

 

ちょっとドキドキしてしまって。

 

だって・・・これは。

 

これ・・・

 

 

 

「あ~大野さん。俺たち帰った方がいい・・・?」

 

 

相葉さんが言う。

 

でもすぐに櫻井さんが。

 

 

「いや逆だよ雅紀。俺たちがいた方がいいんでしょ?智君。」

 

 

コクン・・・と。

 

大野さんがうなづく。

 

さすが・・・長い付き合いの同級生。

 

大野さんのことよくわかっている。

 

・・・じゃなくて///。

 

えと・・・これは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高価なものはまだ買えないけど

いま俺にできる精一杯のこと

 

 

「・・・ぇ///大野さん・・・?」

 

「シルバーリング。」

 

「・・・。」

 

「これ
が今の俺の精一杯なんだ。」

 

「・・・。」

 

「高価なものはまだ買えないけど。」

 

「・・・。」

 

「受け取ってほしい。」

 

「・・・。」

 

 

 

大野さんは。

 

すっと。

 

何の躊躇もなく。

 

僕の左手をとると。

 

僕の返事も待たずに。

 

当然のように・・・薬指にシルバーリングをはめた。

 

そして。

 

こうすればもう絶対に抜けないと思っているかのように。

 

くくっと・・・ぐいっと・・・奥の奥までその指輪をはめる。

 

硬質の・・・冷たい感触が指に纏いつく。

 

でもこれは。

 

・・・。

 

・・・。

 

大野さんからの愛の証。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大野さんからのシルバーリング。

 

じっと見つめる。

 

照れよりも。

 

驚きよりも。

 

嬉しさが勝る。

 

大野さんはこんなにも僕を・・・

 

 

 

 

将来なんてどうにかなると思ってた

君とめぐり逢うまでは

 

 

 

 

大野さん。僕・・・」

 

「あと・・・何ができる?」

 

「・・・え・・・?」

 

「俺が和君にしてあげられること。」

 

「・・・。」

 

「あとは何が・・・俺にできる・・・?」

 

「・・・。」

 

 

くっと小首を傾げ。

 

すっと細められた瞳。

 

僕を真剣に見つめる・・・その深い瞳に射貫かれ。

 

大野さんの本気を感じて。

 

目頭が・・・熱くなる。

 

あとは何ができる?・・・って。

 

もう充分すぎるくらい充分だと思ってる。

 

愛し合い。

 

二人で一緒に。

 

毎日幸せに暮らしている。

 

男同士・・・だから。

 

いろいろと叶わないこともあるけど・・・でも。

 

僕はこうして大野さんと一緒にいられるだけで・・・

 

 

 

「結婚はできないけどさ。」

 

 

急に。

 

櫻井さんが言う。

 

大野さんと僕を。

 

交互に見つめ・・・そして言葉を続けた。

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

..

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