日記

もはや博愛主義ではStarlightを説明しきれない

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30分で理解するStarlight

★今日のベビメタ
本日10月30日は、2018年、World Tour 2018 in Japan@神戸ワールド記念ホール初日が行われた日DEATH。

BABYMETAL10年の歩みを検証し、4万字超のインタビューが掲載された『別冊カドカワNo.830』(以下、同書)で、2018年Dark Sideの背景となった藤岡幹大氏の逝去とYUIMETAL脱退の真相については、一切触れられていない。
2020年10月10日、公式サイトに発表された「10 BABYMETAL YEARS」では、同書が結成10周年記念事業の一つとして記載されていたから、この本はいわばBABYMETALの「正史」である。
メイトなら誰でも知っている藤岡幹大氏の逝去について触れないのは、小神様が、あくまでもキツネ様に召喚され、BABYMETALにさらなるパワーを与える神バンドの「ギターの神」だからだろう。
それは他の神バンドミュージシャンや、サポートダンサー、アベンジャーズでも同じである。彼らが本名でBABYMETALのサポートメンバーであることをカミングアウトすることは、おそらく守秘義務契約上、許されていない。したがって、たとえ亡くなったとしても、運営やメンバーが公式に生身の彼らに言及することはない。いかに不自然でも、ギミックを守りとおすのがアーティストのお約束だ。

その代わり運営は、小神様最後の演奏となった「No Rain No Rainbow」@広島グリーンアリーナを公式MVとして公開し、Darksideの日本ツアーが行われるタイミングで、星になった藤岡氏を偲びつつあくまで前進する意思を示す「Starlight」を発表した。
だが、YUIMETALは結成以来の正式メンバーである。
彼女が脱退に至った詳細な経緯について、少なくとも2年以上経った現在、「BABYMETAL正史」を出版するなら、明かされていいのではないか。
早見あかりが2009年3月に、有安杏果が2018年1月にももクロを卒業するとき、あるいは戦慄かなのが2020年8月、ZOCを脱退するとき、それが一時的に「ファンへの裏切り」や「運営批判」につながったとしても、彼女たちは自身のSNSアカウントやインタビューで、卒業・脱退に至る経緯や心情を吐露している。
確かに2018年10月、YUIMETAL=水野由結は、自身の言葉で、脱退に至った理由を語った。
「今も体調がすぐれないこと」と、「水野由結としての夢」がその理由だったが、ではどんな病気あるいは怪我が原因で、長期にわたって休場しなければならなかったのか。BABYMETALの活動は無理でも、水野由結としての夢は実現できるというその疾患とは、いったい何なのか。
このブログでは、YUIMETAL脱退が発表された直後から、あの声明がすべてであり、それ以上の「本当の理由」など詮索しないでおこうと決めた。
かつてさくら学院で一番小さかったYUIMETALは、2016年以降、SU-に迫るほど身長が伸び、それとともに腰の痛みが発症していた。巨大キツネ祭りで見られた身体や顔のむくみは痛み止めのステロイド剤の副作用だったが、Legend-S-直前には、2日間の激しいダンスには耐えられないほど悪化してドクターストップがかかった。2019年6月の横アリが確保されていたことから見ても、復帰の意志はあり、2018年8月ごろまで様々な治療の手を尽くしたが、ついに回復しなかった。これがぼくの推測だった。

だが、10周年記念の「正史」ですらそれを伏せねばならないこと自体、「本当の理由」が、このようなファンが納得できる推測とは異なることを意味してしまっていないか。
長期欠場~脱退に至る広島でのYUIMETAL欠場について、SU-METALとMOAMETALは次のように語っている。
「ここから半年くらいの活動について、いろんな話をして。私とMOAMETALの結論として、活動を止めることはできないなと思ったんです。今は止まる時期じゃないと感じたし、YUIMETALのためにも、いつでもYUIMETALが戻ってこられるように、私たちがその場所を残しておかなきゃいけないって。」(SU-METAL、同書P.117)
「スタッフさんたちからライヴ自体をどうするのか、本当に2人でやれるのかを訊かれたんですね。そこでSU-METALも私も、ライヴをやらない選択肢は絶対になくて。ライヴの中で生きているBABYMETALだし、何よりSU-METALがそれまで一度も広島公演をやれていないし、洗礼の儀として本当に大切な時間になると思っていたから、私自身もどうしてもやりたかったので。(中略)2人なのか3人なのか編成が決まってない状態で、広島に前日入りして、2人用のフォーメーションを組みなおしたりもしていたんです。寝る時間もなかったけど、勢いで何とか頑張れましたね。」(MOAMETAL、同書P.121)
だが、そこでも、YUIがどんな病気ないし怪我だったのかは語られない。2年経っても、かん口令が敷かれているのだ。それはとても苦しいことではないのか。
もちろん、アベンジャーズを含めた新三人組体制となった現在のBABYMETALにとって、その苦境を乗り越えたSU-とMOAのポジティブな面にフォーカスを当てることは正しい。今さらYUI脱退の真相など、どうでもいいのかもしれない。

しかし、女優として花開いた早見あかりや、結婚してソロ活動を行っている有安杏果と違って、未だにアミューズ所属でありながら水野由結の活動再開=「水野由結としての夢」は全く見えない。もしかしたら、今も疾患に苦しんでいるのかもしれない。そう思うと、ぼくらメイトはどうしても素直に10周年を祝えない。あのKawaiiの権化YUIが、輝かしいBABYMETALの活躍の「犠牲者」に思えてしまうからだ。2018年以降のライブで、メイトさんとアフターで話していると必ずYUIMETALの話題が出る。少なくとも2017年以前からのメイトには、まだモヤモヤした気持ちがぬぐえないでいるのだ。
今考えると、2017年シーズン当初から、予兆はあった。
2017年4月12日、レッチリUSツアー初日ワシントンD.C.公演後の公式ツイッター画像で、ハンドポーズをとる三人の中で、両手で「W」を作ったYUIが「激おこ」の表情を見せていた。当時、メイトの間では「これは何?」という疑問が広がった。

もちろん、その後のツアーでは、YUIMETALは変わらぬ笑顔を見せてくれていた。
このツアーでは、ぼくは4日目のノースカロライナ州シャーロット@Spectrum公演に参戦したのだが、そこでのYUIはスラリと身長が伸び、「女優さん」みたいなオーラを放っていた。
だが、コロンビア公演では、またしてもYUIが怒ったような表情をしており、SU-も下を向き、MOAだけがスーパーマンポーズをとっているバックヤード写真がアップされた。
シャッター・タイミングでそうなってしまっただけの可能性もあるが、それならなぜそんな写真を公式ツイッターにアップしたのだろう。

前回書いたように、東京ドーム後、KOBAMETALはメンバーに「休憩しよう」と告げていた。
だが、2016年12月のレッチリUKツアーから、2017年1月のMETALLICAソウル高尺ドーム公演
、Guns N‘ Rosesの大阪・神戸・横浜・さいたま公演と続き、4月からのレッチリ東海岸~フロリダ17日間10公演という過酷なスケジュールに、YUIの身体と心が悲鳴を上げていたとしてもおかしくはない。
2017年のレッチリUSツアーは、神バンドのドラマーがいつもとは違った。自らのパフォーマンスに対する要求水準の高い彼女たちにとって、わずかなノリやタイミングの違いが「違和感」につながることもある。
それはもちろんSU-とMOAも同じなのだが、身長の伸びが一番大きかったYUIは、この頃から腰に痛みを感じていたのかもしれない。
批判を覚悟で嫌なことを言うと、東京ドーム終了後、「次の目標」を大きく掲げず、「休み」を約束していながら、大物バンドからのオファーによって無理やりスケジューリングしてしまったことが、メンバーのメンタル&フィジカル両面で何らかの「ズレ」を生んでしまった可能性はなかったのか。
気持ちと身体の「ズレ」は、レッチリUSツアー中に徐々に大きくなり、この年2度目のアメリカツアー、Special Headliner Show@ハリウッドPalladiumを含むKOЯNツアーで、YUIMETALは「これが最後の海外ツアーになるかもしれない」と覚悟したのではないか。
YUIは、そのことをメンバーに打ち明けた。だから、2017年6月20日のチュラビスタ公演で、SU-に「Happy Birthday, YUIMETAL!」と祝福されたとき、MIKIKO師の薫陶を受けてステージで泣くことを戒めていたはずのMOAMETALが泣き出してしまったのではないか。
もちろんこれはぼくの勝手な憶測に過ぎない。
その後、2017年のBABYMETALは5大キツネ祭り、サマソニ2017、巨大キツネ祭りと、前半の海外前座修業とは打って変わって、充実したライブをファンに提供してくれた。
だが、YUIの身体と顔にむくみが見られたのは事実であり、2人体制になるかもしれないということは、少なくともLegend-S-で広島入りする前からわかっていた。決まったのが当日であることは間違いないが、そこまでのYUIの内心の葛藤や、SU-、MOAの心の嵐について、今なら語れることも多いと思うのだ。
ももクロでは、有安杏果の卒業について、メンバー一人ひとりとのマンツーマン対談が『BUBKA 2018年3月号』で35ページにわたって掲載された。
『別冊カドカワNo.830』は、一冊まるごとBABYMETALだが、Darksideに転じるきっかけとなったYUIMETAL脱退について、ほとんど書かれていない。そこに掲載された関係者の証言は「正史」らしくBABYMETALをポジティブに評価するものばかりだ。だが、ぼくにいわせれば、そこに描かれたBABYMETALはあまりにも「いい子ちゃん」過ぎる。
「BABYMETALの哲学」というタイトルで、同書から読み取れるBABYMETALの歩みの考察を進めているが、その前にZOCの活動に触れたのは、ネガティブな歴史も含めて、そのグループを愛することがアイドルファンの本義だという「補助線」を引きたかったからだ。

それはロックバンドのファンにも共通する。ディープパープルのリッチー・ブラックモアとイアン・ギランの相克とか、『メタリカ―真実の瞬間―』に描かれたメンバー間の対立など、バンド内の人間関係も含めて、ファンはそのバンドを理解し、愛している。
それは表現活動の本質ではないが、生身の人間性の露呈は、ファンがアーティストに惹きつけられる重要な要素のひとつである。
BABYMETALに関して言えば、YUIの欠場~脱退は、ネガティブな事象だったからこそ、2018年のDarkside、2019年~現在に至るMETAL GALAXYを創り上げていく大きなモチベーションだったはずである。
そこがぽっかりと空いてしまっているのが、BABYMETALの「正史」である『別冊カドカワNo.830』なのだ。
だが、とりあえず、YUI不在のDarksideの2018年、アベンジャー体制となったMETAL GALAXYに、SU-、MOAがどんな気持ちで取り組んでいったのか、同書をもとに考察を進めよう。
(つづく)
 

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★今日のベビメタ
本日10月30日は、2018年、World Tour 2018 in Japan@神戸ワールド記念ホール初日が行われた日DEATH。

BABYMETAL10年の歩みを検証し、4万字超のインタビューが掲載された『別冊カドカワNo.830』(以下、同書)で、2018年Dark Sideの背景となった藤岡幹大氏の逝去とYUIMETAL脱退の真相については、一切触れられていない。
2020年10月10日、公式サイトに発表された「10 BABYMETAL YEARS」では、同書が結成10周年記念事業の一つとして記載されていたから、この本はいわばBABYMETALの「正史」である。
メイトなら誰でも知っている藤岡幹大氏の逝去について触れないのは、小神様が、あくまでもキツネ様に召喚され、BABYMETALにさらなるパワーを与える神バンドの「ギターの神」だからだろう。
それは他の神バンドミュージシャンや、サポートダンサー、アベンジャーズでも同じである。彼らが本名でBABYMETALのサポートメンバーであることをカミングアウトすることは、おそらく守秘義務契約上、許されていない。したがって、たとえ亡くなったとしても、運営やメンバーが公式に生身の彼らに言及することはない。いかに不自然でも、ギミックを守りとおすのがアーティストのお約束だ。

その代わり運営は、小神様最後の演奏となった「No Rain No Rainbow」@広島グリーンアリーナを公式MVとして公開し、Darksideの日本ツアーが行われるタイミングで、星になった藤岡氏を偲びつつあくまで前進する意思を示す「Starlight」を発表した。
だが、YUIMETALは結成以来の正式メンバーである。
彼女が脱退に至った詳細な経緯について、少なくとも2年以上経った現在、「BABYMETAL正史」を出版するなら、明かされていいのではないか。
早見あかりが2009年3月に、有安杏果が2018年1月にももクロを卒業するとき、あるいは戦慄かなのが2020年8月、ZOCを脱退するとき、それが一時的に「ファンへの裏切り」や「運営批判」につながったとしても、彼女たちは自身のSNSアカウントやインタビューで、卒業・脱退に至る経緯や心情を吐露している。
確かに2018年10月、YUIMETAL=水野由結は、自身の言葉で、脱退に至った理由を語った。
「今も体調がすぐれないこと」と、「水野由結としての夢」がその理由だったが、ではどんな病気あるいは怪我が原因で、長期にわたって休場しなければならなかったのか。BABYMETALの活動は無理でも、水野由結としての夢は実現できるというその疾患とは、いったい何なのか。
このブログでは、YUIMETAL脱退が発表された直後から、あの声明がすべてであり、それ以上の「本当の理由」など詮索しないでおこうと決めた。
かつてさくら学院で一番小さかったYUIMETALは、2016年以降、SU-に迫るほど身長が伸び、それとともに腰の痛みが発症していた。巨大キツネ祭りで見られた身体や顔のむくみは痛み止めのステロイド剤の副作用だったが、Legend-S-直前には、2日間の激しいダンスには耐えられないほど悪化してドクターストップがかかった。2019年6月の横アリが確保されていたことから見ても、復帰の意志はあり、2018年8月ごろまで様々な治療の手を尽くしたが、ついに回復しなかった。これがぼくの推測だった。

だが、10周年記念の「正史」ですらそれを伏せねばならないこと自体、「本当の理由」が、このようなファンが納得できる推測とは異なることを意味してしまっていないか。
長期欠場~脱退に至る広島でのYUIMETAL欠場について、SU-METALとMOAMETALは次のように語っている。
「ここから半年くらいの活動について、いろんな話をして。私とMOAMETALの結論として、活動を止めることはできないなと思ったんです。今は止まる時期じゃないと感じたし、YUIMETALのためにも、いつでもYUIMETALが戻ってこられるように、私たちがその場所を残しておかなきゃいけないって。」(SU-METAL、同書P.117)
「スタッフさんたちからライヴ自体をどうするのか、本当に2人でやれるのかを訊かれたんですね。そこでSU-METALも私も、ライヴをやらない選択肢は絶対になくて。ライヴの中で生きているBABYMETALだし、何よりSU-METALがそれまで一度も広島公演をやれていないし、洗礼の儀として本当に大切な時間になると思っていたから、私自身もどうしてもやりたかったので。(中略)2人なのか3人なのか編成が決まってない状態で、広島に前日入りして、2人用のフォーメーションを組みなおしたりもしていたんです。寝る時間もなかったけど、勢いで何とか頑張れましたね。」(MOAMETAL、同書P.121)
だが、そこでも、YUIがどんな病気ないし怪我だったのかは語られない。2年経っても、かん口令が敷かれているのだ。それはとても苦しいことではないのか。
もちろん、アベンジャーズを含めた新三人組体制となった現在のBABYMETALにとって、その苦境を乗り越えたSU-とMOAのポジティブな面にフォーカスを当てることは正しい。今さらYUI脱退の真相など、どうでもいいのかもしれない。

しかし、女優として花開いた早見あかりや、結婚してソロ活動を行っている有安杏果と違って、未だにアミューズ所属でありながら水野由結の活動再開=「水野由結としての夢」は全く見えない。もしかしたら、今も疾患に苦しんでいるのかもしれない。そう思うと、ぼくらメイトはどうしても素直に10周年を祝えない。あのKawaiiの権化YUIが、輝かしいBABYMETALの活躍の「犠牲者」に思えてしまうからだ。2018年以降のライブで、メイトさんとアフターで話していると必ずYUIMETALの話題が出る。少なくとも2017年以前からのメイトには、まだモヤモヤした気持ちがぬぐえないでいるのだ。
今考えると、2017年シーズン当初から、予兆はあった。
2017年4月12日、レッチリUSツアー初日ワシントンD.C.公演後の公式ツイッター画像で、ハンドポーズをとる三人の中で、両手で「W」を作ったYUIが「激おこ」の表情を見せていた。当時、メイトの間では「これは何?」という疑問が広がった。

もちろん、その後のツアーでは、YUIMETALは変わらぬ笑顔を見せてくれていた。
このツアーでは、ぼくは4日目のノースカロライナ州シャーロット@Spectrum公演に参戦したのだが、そこでのYUIはスラリと身長が伸び、「女優さん」みたいなオーラを放っていた。
だが、コロンビア公演では、またしてもYUIが怒ったような表情をしており、SU-も下を向き、MOAだけがスーパーマンポーズをとっているバックヤード写真がアップされた。
シャッター・タイミングでそうなってしまっただけの可能性もあるが、それならなぜそんな写真を公式ツイッターにアップしたのだろう。

前回書いたように、東京ドーム後、KOBAMETALはメンバーに「休憩しよう」と告げていた。
だが、2016年12月のレッチリUKツアーから、2017年1月のMETALLICAソウル高尺ドーム公演
、Guns N‘ Rosesの大阪・神戸・横浜・さいたま公演と続き、4月からのレッチリ東海岸~フロリダ17日間10公演という過酷なスケジュールに、YUIの身体と心が悲鳴を上げていたとしてもおかしくはない。
2017年のレッチリUSツアーは、神バンドのドラマーがいつもとは違った。自らのパフォーマンスに対する要求水準の高い彼女たちにとって、わずかなノリやタイミングの違いが「違和感」につながることもある。
それはもちろんSU-とMOAも同じなのだが、身長の伸びが一番大きかったYUIは、この頃から腰に痛みを感じていたのかもしれない。
批判を覚悟で嫌なことを言うと、東京ドーム終了後、「次の目標」を大きく掲げず、「休み」を約束していながら、大物バンドからのオファーによって無理やりスケジューリングしてしまったことが、メンバーのメンタル&フィジカル両面で何らかの「ズレ」を生んでしまった可能性はなかったのか。
気持ちと身体の「ズレ」は、レッチリUSツアー中に徐々に大きくなり、この年2度目のアメリカツアー、Special Headliner Show@ハリウッドPalladiumを含むKOЯNツアーで、YUIMETALは「これが最後の海外ツアーになるかもしれない」と覚悟したのではないか。
YUIは、そのことをメンバーに打ち明けた。だから、2017年6月20日のチュラビスタ公演で、SU-に「Happy Birthday, YUIMETAL!」と祝福されたとき、MIKIKO師の薫陶を受けてステージで泣くことを戒めていたはずのMOAMETALが泣き出してしまったのではないか。
もちろんこれはぼくの勝手な憶測に過ぎない。
その後、2017年のBABYMETALは5大キツネ祭り、サマソニ2017、巨大キツネ祭りと、前半の海外前座修業とは打って変わって、充実したライブをファンに提供してくれた。
だが、YUIの身体と顔にむくみが見られたのは事実であり、2人体制になるかもしれないということは、少なくともLegend-S-で広島入りする前からわかっていた。決まったのが当日であることは間違いないが、そこまでのYUIの内心の葛藤や、SU-、MOAの心の嵐について、今なら語れることも多いと思うのだ。
ももクロでは、有安杏果の卒業について、メンバー一人ひとりとのマンツーマン対談が『BUBKA 2018年3月号』で35ページにわたって掲載された。
『別冊カドカワNo.830』は、一冊まるごとBABYMETALだが、Darksideに転じるきっかけとなったYUIMETAL脱退について、ほとんど書かれていない。そこに掲載された関係者の証言は「正史」らしくBABYMETALをポジティブに評価するものばかりだ。だが、ぼくにいわせれば、そこに描かれたBABYMETALはあまりにも「いい子ちゃん」過ぎる。
「BABYMETALの哲学」というタイトルで、同書から読み取れるBABYMETALの歩みの考察を進めているが、その前にZOCの活動に触れたのは、ネガティブな歴史も含めて、そのグループを愛することがアイドルファンの本義だという「補助線」を引きたかったからだ。

それはロックバンドのファンにも共通する。ディープパープルのリッチー・ブラックモアとイアン・ギランの相克とか、『メタリカ―真実の瞬間―』に描かれたメンバー間の対立など、バンド内の人間関係も含めて、ファンはそのバンドを理解し、愛している。
それは表現活動の本質ではないが、生身の人間性の露呈は、ファンがアーティストに惹きつけられる重要な要素のひとつである。
BABYMETALに関して言えば、YUIの欠場~脱退は、ネガティブな事象だったからこそ、2018年のDarkside、2019年~現在に至るMETAL GALAXYを創り上げていく大きなモチベーションだったはずである。
そこがぽっかりと空いてしまっているのが、BABYMETALの「正史」である『別冊カドカワNo.830』なのだ。
だが、とりあえず、YUI不在のDarksideの2018年、アベンジャー体制となったMETAL GALAXYに、SU-、MOAがどんな気持ちで取り組んでいったのか、同書をもとに考察を進めよう。
(つづく)
 

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